LoveVector の、2005 年 09 月 04 日の記事一覧です。
二項関係「友達」F⊆H2 について勝手に考える(ここで,H は人の集合)。即ち,(a,b)∈F ならば b は a の友達だ。
さて,F をより小さな関係で記述できないだろうか。といっても,付き合いがどれくらいあり,気の合い様はこれくらいで,とかいうのは一概には言えないので,ここでは認知によって F を定義することを考える。
まず,友達認知関係 C⊆H2 を定める。(a,b)∈C ならば,a は b を友達だと「思っている」。双方が相手を友達だと思っていなければ,二人は友達とはいえないだろうから,少なくとも (a,b)∈F → (a,b)∈C ∧ (b,a)∈C は成り立ちそうだ。
では,この右辺は左辺をよく満たしているだろうか? 即ち,お互い友達だと思っていさえすればその二人は「友達」の役割を演じられるか。僕はそうでもないと思う。もうひとつ,被友達認知関係 C*⊆H2 を導入すればしっくりくる。(a,b)∈C* ならば,a は「b は a のことを友達だと思っている」と認識している,というもの。お互いに友達と思ってるだけじゃなくて,相手に友達だと思われている,という意識も双方になきゃ上手く回らないだろうという考え。
書き下すと,(a,b)∈F → (a,b)∈C ∧ (b,a)∈C ∧ (a,b)∈C* ∧ (b,a)∈C*。双方友達と思い,また思われていると思い込んでいれば,友達として上手く回るだろう。グラフで言えば,友達認知グラフと被友達認知グラフの積における双方向辺が友達リンクだ(つまり,(a,b)∈F → (a,b)∈C∩C* ∧ (b,a)∈C∩C*)。
C と C* の関係は,たぶん大きく個人差がある。「自分はアノ人のことを友達と思ってるけど,向こうはそうは思ってないんだろうなぁ‥‥」とマイナス思考で考える傾向が強い人もいれば,自分がそう思ってる時点で相手も思っているに違いないと考え(または相手がそう思っていないなんてことは想像すらしない)るプラス思考あるいは無思考な人もいる。後者の方は,C がだいたい C* に含まれているわけだ。
この場合,特に前者のような人間となんとかして友達関係を成り立たせたいのであれば,自分が相手のことを友達だと思っている素振りをたくさん見せた方がうまく回る,ということになる。
‥‥やっぱ違うか? 以下追記。
表記を簡略化して aFb → aCb ∧ bCa ∧ aC*b ∧ bC*a というところで終わったが,改めて考えるとこれはやっぱりおかしいかもしれない。右辺第1,2項で相手を友達と「思っている」以上,すでに友達と思われているはずだという認識を含んでいていいんじゃないの? そういう意味では,aFb → aCb ∧ bCa のままでよさそう。
でもここで終わるのは癪なので C についてもう少し考えてみる。先と同様に双方向の認知によりこれを分解すると,「好きであり,好かれていると思っている」あたりで記述できそうだ。関係 L(好き)及び L*(好かれていると思っている)を導入して,aCb → aLb ∧ bL*a。
こいつで展開してしまえば,aFb → aLb ∧ bLa ∧ aL*b ∧ bL*a じゃん。お互いに好きつつ,好かれていると認識してる二人組。自己言及性が落ちてちょっとつまらなくなったけど,最初に述べた友達認知の問題は解決できているし,前回出現した四項構造がそのまま見えたことになる。
ちなみにこの C というのは,客観的であろう F を左手側(lhs)から主観的に見たものだ。無駄に主観化演算子 ◆ みたいなものを導入して C = ◆F としても――そんなに面白くないねぇ。方向性募集中。